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自分

詩/西田純 曲/楠田陽子
歌/田中勉 ピアノ/田中紀子

くり返し 再生されてきた
何千年 何百年ものあいだ
ぼくは 何度も使い古され
数えきれないほど 混ぜ合わされ
新しく 生まれてきた
何もないところから
湧いてきたのではない
ずいぶん多くの
いのちの中をくぐり抜け
気の遠くなりそうな
年月のあいだから
今 ここで 立っている
ぼくは どこから来たのだろう
ぼくの中の
あるものは 海のかなたから
あるものは 山にかこまれて
ぼくは ひとりの人間ではない
たくさんの違った人間の中に
分かれていたものが
ある日
ひとつの いのちとなったのだ

詩人コメント
自分は突然生まれて消えていくのではない。何十億年も前から、自分の元になるものが続いてきた。自分がいなくなっても、どこかで生き続ける。今も、誰かが、自分の中にある同じものを持って、動いているのかもしれない。

作曲家コメント
自分はいったい何者なのだろうかと、ふと考え込む瞬間があります。答えはきっとそれぞれの自分の中にあるのかもしれません。この作品で、私の中にあるひとつの可能性を見つけることができました。

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