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私は庭の散髪屋

詩/中村多津子 曲/熊谷美紀
歌/中川正崇 ピアノ/田中紀子

この家の庭に
一番古くから住んでいる
背の高い槙の木
苦労した後の円形脱毛が
二つ 三つ
隠すようにチョキチョキ

そのそばに
二番目に古い金木犀
甘い香りを送っている
この木も白髪が目立ち始めている
チョキチョキ
この他の木々たちも
いつも私たち家族の友だち

私が心さびしい時
そっと木にもたれかかる
子供たちが泣きたい時
そっと木陰にかくれる

太くてあたたかい木々たちは
いつもさりげなく
静かに見守ってくれる

だから今日は感謝を込めて
やさしくチョッキン チョッキン

詩人コメント
 庭の木々たちが我が家に来て四〇年ほど経つ。いつも静かに見守ってくれているような気がして癒されている。
作曲家コメント
 この詩を読んでいると、とても暖かな気持ちになります。物言わぬ木ですが、ずっと家族を見守り続けてきた木々には魂が宿っているように感じます。私も長年住んでいた家の木々を懐かしく思い出しました。

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