四月の風 どんなに悲しい傷のあとも
いやしてしまう温かさ
空に書かれた 落書きを
取り消してゆくことば「ごめんなさいね」
レース あみの糸の結び目
春を あんでゆく白いゆび
さざめき ゆれているすみれ
キラリと光る 小川の水面(みなも)
詩人コメント
「ごめんなさいね」は何というやさしいことばでしょう。薔薇の花びらが傷を包む包帯であったなら、きっとこの言葉に似あいます。「ごめんなさいね」が聞こえてきたら、もう悲しいことを忘れて笑顔になるでしょう。心の傷もいえるでしょう。
作曲家コメント
四月の詩からエリオットの「残酷な四月」とのつながりを連想する。しかしここでは「ごめんなさい」という言葉で救われます。あくまでも小川はキラリと光っていて、そこには温かさが存在している。