わたしの知らない
遠いところにいる
まっさおの空の下で
土煙をあげている
かわいた大地が
画面に映る
その子は
立ちすくんでいる
はてしない戦のなかで
とまどいの眼が
ぴたり 静止する
緑があふれ
泉がわき
風がすきとおる
森をさがして
なぜ、なぜ、なぜなの
真昼のやわらかな陽ざしが
窓辺で ゆらめく
その子の
真っすぐなまなざしを
置き去りにしたまま
詩人コメント
画面に映し出された、真っ青の空、土煙、戸惑いの眼のその子。窓辺のやわらかな陽ざしの中にいるどうすることもできない無力な私。なぜ、どうしてなの、とつぶやくだけ・・・。
作曲家コメント 世界のいたるところで止むことのない戦。命の危険にさらされて過酷な状況下にいる人々と平和で優雅な生活を楽しむ人々。映像を通して両方のニュースが同時に伝えられる。それが日常となってしまった。「うたう」は歌う・唄う・謳う・詠う・謡う・吟う、とたくさんの漢字で表されます。それぞれの漢字に意味がありますが、どれもなぜか硬く感じられます。ひらがなの「うたう」の何かやさしい、温かみのある感じを表現できればと思いました。