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けやきの詩

詩/井上一枝 曲/南川弥生
歌/坪田雪 ピアノ/園田文子

鴇色のなみだが
切り株から
泉のようにあふれ出る
年輪に刻んだ
長い歳月を
はげしくめぐりながら

あなたは 立ちすくむ
寒風の空へ
いのちの滴を 吹き上げて

夕暮れどき
鳥たちが 鳴きさわぐ
あなたと重ねた
樹影をさがして

一年がめぐり
鴇色の滴を
緑のいのちに かえて
萌え木を
初夏の空へ 突き上げる
               
鳥たちがやってきた
再会のよろこびを
鳴き交わしながら
まっすぐ
あなたをめざして

詩人コメント
 欅は、屋敷林として人家や田畑を守り、四季折々に鳥たちが羽を休めに寄ってくる。ある日、悠久の昔から大空を揺らしていた大木の欅が伐られた。鴇色の涙を切り株から流し続けて。

作曲家コメント
 バードウォッチャーの私は、季節毎に渡ってくる鳥たちとの出遭いを楽しみにしている。何万キロも旅して渡ってくる鳥たちの休息場となる巨木。自然を見つめる優しい眼差しを私も目指していたい。

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